淘汰は自然の理

yumeriaさんがこちらの記事で書いていた昨今の撮影会事情。アイドル撮影会から撤退する業者が増えたらしいけど、それに至った原因は既に数年前にあったんです。
自分も一時期は毎月のようにあちこちの撮影会に出かけてたけど(今でも手元に会員証だけはゴロゴロある)、3年前程前に撤退を決めて、それ以来どうしても必要じゃない限りは参加してない。
参加を止めた一番大きい理由は「撮影会そのものの質の低下」ですね。
もうね、スタッフの大半が単なるアルバイト化しちゃってて、撮影会としてちゃんとした写真撮影を保証してくれるところがない。
例をあげると
  • 参加してるこっちが「背景がこっちでモデルはこっち。だからレフはこっちね」とかイチイチ指示しなきゃいけないのに疲れちゃった(苦笑)言えば言ったで「他の人も撮ってますから。お客さんの言う事だけを聞くわけには…」とか訳のわからないことを言われたりもしたし。その言葉聞いたときは、さすがに「ハァ?なに言ってんの、コイツ等は…ヾ(;´Д`)」って、飽きれ返っちゃったよ(まぁ潰れたみたいですけどネ、ア○○○ドw)。
  • 晴天の撮影なら時間の経過で太陽の位置が変わるんだからレフの置き位置を調整するなんて基本中の基本。某アイドル撮影会みたいにずーっと足元にレフ置いて「勝手に撮れ」なんてやってるのは論外。レフ持ちもしないでソコらでベンチに座ってタバコふかしてるヤツとか、そんなの恥かしくて「撮影会やってます」なんて、おいらには言えないね。
  • 狭いスタジオに人数制限しないで入れちゃってまともに撮影できなかったり。1部7〜8千円払って実質撮影できたのが10分ないって、コストパフォーマンスが悪すぎでしょ!人数見て撮らないで帰っちゃったこともあった。雨降ってスタジオに変更になったらポイント2倍なんてやってるところもあるけど、本末転倒。まずは出来るところから撮影環境そのものを整えるべき。
こっちは撮影会に参加してるのであって、アイドルイベントに参加してるわけじゃない。
気に入ったモデルを良い条件で写真撮影できると思うから、高い金を払ってまで参加してる訳さ。
コレがね、タダだったり参加費が凄く安かったりするならこっちも文句言わない。「払っていただいてる分で動きます」って言い分は当然と思うから。でも殆どの撮影会でさ、こちらが金払ってる分のことをやってくれてるか?って改めて考えたら、そうは思えなかったのね。
そもそも撮影会の値段設定は主催者側が決めてることだし、もちろんその中にはモデルに払うギャラもスタッフの人件費も、スタジオならショバ代も機材費も全部含まれてる。こっちは良い写真を撮りたいって思うからこそ、定められた額を払った上で参加してるんで、必要あればコンセプトや構図をモデルやスタッフと話して、充分納得してもらった上で撮らせてもらう。撮影会の趣旨として至極当たり前のことだし、余程ムチャなことじゃなければ無理矢理にだって動いてもらってた。それは金を払ったお客の当然の権利であって、決して無理難題吹っ掛けてる訳じゃないからね。
まぁ例えスタッフが動かなくても、こちらからの提案にちゃんと耳を貸してくれて、ある程度好きに撮らせてくれるならそれでも構わないんだけど(こちらの望む事が出来るかどうかは別にしてね)。
でもね、「ここはいい写真撮らせてくれるな。また来たい」って満足できた主催者って、ほんの僅かしかなかった。それが現状でしたよ。
あと、参加者の質が変わっちゃったことも大きい。
自分が頻繁に参加してた頃って「アイドルファンでもあるけど、写真は写真としてちゃんと撮るよ」って人が多かった。
自分も最初はただ好みの娘が撮れるってだけで満足しちゃってた部分もあったんだけど、同じ参加者で腕のある人の写真を見せてもらったら、自分の撮ってたものが恥かしくなっちゃって「やっぱりもっと写真を勉強しなきゃアカンな」って、入門書読んだりしながら一から写真の原理や技術について勉強しなおした。
写真はね、自己満足で全然構わないんだけど、それでも最低限、撮らせてもらったモデルの娘に『えっ!?こんな綺麗に撮れたの!ありがとう♪』って喜んでもらえるような写真を撮らなきゃウソだろう?って。今でも充分勉強したとは言いがたいけど、それなりに人に見せて恥かしくない写真を撮ってきたとは思ってる。だから気に入ったモデルに会うこともそうだけど、それ以外にも、お互いを刺激しあえる人たちが沢山いる現場に参加すること自体が楽しかったし、それに対して金出すのも全く惜しくなかったんです。
でも、アイドル撮影会そのものがどんどんポピュラーになってきて*1イベントと撮影会の違いを理解していない輩がどんどん増えてきてから、どうにもおかしくなってきちゃった。
一部の新参者は、とにかくモデルであるアイドルの気を引きたくて、人が撮ってる最中に平気で声をかけたり、1度いいポジション確保すると誰かに言われるまでそこから動かなかったり。ひどい時は人が撮ってる最中にその前に平気で割り込んでくるし、挙句の果てには撮影する側がろくに撮影しないで気を引くためだけにコスプレしてきたり(またモデルも無邪気に喜んじゃうものだから、余計につけあがるんだネ、コレが…(;ー''ー))…どこにそんな撮影会がありますか?
もうね、無法地帯ですよ。┐(´Д`;)┌ こうなると主催者が仕切って進める物販イベントより遥にタチ悪い。
でも撮影会主催者はお客を選べないし(あまりにもヒドイのは出入り禁止にしてもらったけど)、そういうお客の方がうるさくないし、楽に金を搾り取れるもんだから、そのままの状態で放置しちゃって。
だから、自分も含めてきちんと写真は写真として撮りたい人たちが嫌気さして「もういいよ」ってアイドル撮影会を敬遠し出しちゃった。
撮影自体を楽しんでる人は、もちろん気に入ったモデルさんで撮れることが一番なんだけど、それと同じ次元で自分の作品を作りたいって思いもあるわけ。だから特定のモデルがいなくなったからといって、自分の作品作りと条件が合う撮影会からすぐに離れちゃったりするわけじゃない。そこの条件でまた新しいモデルを探そうってまず思うから(場合によっては「この娘ブッキングできない?」なんてお願いしたこともありますよ)。そういう人たちはモデルじゃなく撮影環境を気に入って足を運んでる常連=安定収入を臨める固定客なのよね。
対してイベントノリのお客は、お気に入りのモデルがいるうちはいいけど、その娘が出なくなったり、自分に対して思った以上のリアクションが得られなければ、サッサと別の娘に鞍替えする。元より単にアイドルに会いたいってだけで来てる人たちだし、それ以上の楽しみは何も求めてない。最初から目的が違うんだから、条件が合わなくなれば見限るのは早いんですよ。
目先の収入に目がくらんで、条件さえ整えばちゃんとお金を落としてくれる固定客を切り捨てちゃってね。そんなドンブリ勘定やってるから、今まで金を落としてたお客が足を運ばなくなれば、当然人気のあるモデルをそろえられない撮影会主催者は潰れるしかなくなる。
yumeriaさんは負け組と書いてましたけど、自分からすれば負けるべくして負けてるとしか思えない。撮影会本来の意味を忘れてるからそういう事になる。自業自得なんですよ。
自分が思うに、こういう業界の自戒作用って得てして適正な数を飛び越えて無闇に増えすぎてしまったから起こりうるのであって、いい加減な運営しかしていないところなんて、この際さっさと潰れてもらったほうがいい。そして撮影会の本分をちゃんとわきまえた主催者がもっと増えてくるのを願っていますよ。
村山ひとし氏をチーフアドバイザーに迎えてプロデュースするとか…
そういうのは紛らわしいから「撮影会」と名乗らないで、単なる「アイドルイベント」と銘打ってやって欲しいです。今までも、そういう紛らわしい表記をしたものに限って、現場で満足した試しがないので。
参加する側の気持ちの問題として「イベント内で撮影タイムがある」というのと「撮影会」は全く別。
でも今の撮影会に参加してる人の多くは、今のイベント然とした撮影会が本当の撮影会って思ってるんでしょうね。嘆かわしいことだけどw
初心者向けにデジイチ機材の貸出やレッスンなど…
機材の貸し出しやレッスンは、大手カメラ量販店で主催する撮影会とかだとやってますね。でもそれはちゃんとプロのカメラマンが付いて技術指導なども行なってるので、目的としては「現場で撮影技術の腕を磨こう」ってことだから、企画趣旨としては正しいと理解できる。
でもアイドル撮影会では機材の貸し出しもレッスンも必要ないと自分では思う。上でも書いたけど、来てる人の大半の目的が違うから。例えばモデルが数人いたとして。今はデジ一眼主流だし撮ろうと思えば枚数気にしないで撮れるのに、お気に入りが休憩に入れば自分も休憩。そんな人たちがレッスンを望んでいるとは思えないし、高価な機材を貸し出すまでもなく、アイドルを撮りたいという意志があるのなら、中古でも何でもいいからカメラ一式ぐらいは自分で揃えろと。
腕を磨きたいって常々思ってる人なら、モデルに関係なく撮るよ(お気に入りの娘を綺麗に撮る為にね)。時間があるうちは腕磨くチャンスだし、その分の金も払ってるんだしね。大体アイドル撮影会で「オレはこの娘しか撮らない!」なんて豪語してた人で写真上手な人って見たことないよ(苦笑)

*1:これについては小倉優子さんの存在がとにかく大きかった。撮影会主催者が増えた一因は間違いなく彼女の功績です。でもそれは同時に撮影会のアイデンティティを崩すことにも繋がった。今となっては皮肉としか言い様がないね。