欧州CL
時期的にそろそろ突破する、しないが決まり始めるところ。試合が長期間になると選手たちはキツくなるけど、チームとしては試合の放映権など莫大な収入を得ることになるので、毎回ガチンコ。
そんな中、昨日はわがMUFCとホームで対戦したセルティックの中村俊輔選手が初戦に続いてフリーキックを決め、それが決勝点となって勝利。日本人としては初めて欧州CL決勝トーナメントに進んだ。
サッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)は21日、グラスゴー(英国)などで1次リーグE−H組の8試合を行い、F組でセルティック(スコットランド)はMF中村俊輔が直接FKで奪った決勝点でマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)を1−0で破り、16チームによる決勝トーナメント進出を決めた。セルティックは大会が欧州CLとなってから初の決勝トーナメント進出。
中村は後半36分、正面やや右から約28メートルのFKをゴール右上に決め、欧州CLで自身2点目をマークした。
H組ではACミラン(イタリア)が0−1でAEKアテネ(ギリシャ)に敗れたが、同組2位以上が確定して決勝トーナメント進出が決まった。(共同)
★クラブ史変えた俊輔の左足−約30メートルFK、マンUを撃破
クラブの歴史に名を刻む鮮やかなゴールだった。中村が直接FKから奪った決勝点で、セルティックは欧州CLで初の決勝トーナメント進出が決定。「チームが(1次リーグを)突破できたことを考えると大きい」と、左足の名手は満足そうな笑みを浮かべた。
後半36分。正面やや右から距離は30メートル近くもあった。本人が「後からテレビで見て、自分でもほうっと思うような距離」と自賛した長いFKは、オランダ代表GKファンデルサルの手から逃げるようにゴール右上に吸い込まれた。無数の緑と白のマフラーが揺れるスタンドに向け、中村はユニホームを誇示して喜びを爆発させた。
強豪マンチェスター・ユナイテッドに前半は圧倒された。中村はいつもの右でなく左MFで先発出場。「今季はやっていなかったから、ちょっと心配だった」という悪い予感が的中し、中村自身の出来も悪かった。だがハーフタイムにレノン主将が「世界一のチームが相手なのだから、しがみついていけばいい」と呼び掛けてチームが奮起。終了間際にはGKボルツがPKをはじいてリードを守り切った。中村は欧州CLの初得点も、マンチェスターU戦のFKだった。だが今回の方が距離も長く、コースも抜群。そして何よりチームに勝利をもたらした値千金の一撃だった。(共同)
前回も勝ったとはいえスコアはホームなのに3-2でギリギリだった。相手は「強豪相手でもやれる!」って思っただろうし、MUFCは格下を勢いに乗せてしまい、今回は自国リーグでも圧倒的な強さを見せるセルティックのホーム。圧倒的な地の利もあるし、前回みたいにワンチャンスをものにできれば分からない…と内心イヤな気がしてたら、その通りになっちゃった(笑)こういう予感って得てして当ってしまうものだけど、それにしても中村選手、ことプレースキックに関しては、もう世界でも5本の指に入るんじゃないかね?
最近の試合球は縫合面が少なくなって足の引っ掛りが少なくなったことから曲がりにくくなった。それ故「ブレ球」と呼ばれる無回転のボールを蹴る人が増えてきたけど*1、中村選手の場合、ボールを足先だけじゃなく体全体のひねりを使って曲げる(そのために疲労が蓄積すると腰痛を起こしてしまうことがよくある)から、今でも鋭いカーブをかけられる。特に欧州を意識してから蹴り始めた速く低い弾道で曲がるボールに関しては、レアル・マドリードのディビット・ベッカム選手と肩を並べるだけのものになってきた。そのベッカム選手を育て上げた名将サー・アレックス・ファーガソン監督も、生まれ故郷のリーグで活躍するたった一人の日本人に、まさか2度までも冷や汗をかかされることになるとは思ってもいなかっただろう。
このMUFC戦で決めた2発の印象、そしてセルティックの快進撃を考えれば、来年夏以降の移籍市場で間違いなくリストアップされる。来年以降も目が離せませんね。
何とか進んで欲しいけど、セルティック戦を見ている限りじゃなんとなくチグハグで噛み合ってないしなー…。昔ならこういうときにロイ・キーンあたりが気合入れてくれるんだけど(苦笑)
また、最終節での突破がかかっているのはグループDのローマ(イタリア)とシャフタール(ウクライナ)、グループGのポルト(ポルトガル)とCSKAモスクワ(ロシア)、グループHのAEKアテネ(ギリシャ)とリール(フランス)。
どこが抜けるにしても、決勝トーナメントは面白い組み合わせになりそうだ。
*1:リヨンのジュニーニョ・ペルナンブカーノ、ACミランのアンドレア・ピルロが得意とするシュートテクニック。それ以前に現J2ヴィッセル神戸所属の三浦淳宏選手が同種のプレースキック得意とし自ら「ブレ球」と呼んでいたことで、日本のサッカーファンの間では割と知られていた。三浦選手の解説によると「蹴る瞬間、上の方に押し出す感じ」で蹴るらしい。その弾道は、野球で言うナックルボールと同様に空気抵抗に大きく影響を受けて不規則に変化する。日本代表GK楢崎正剛選手が「来ると分かっていても抑えるのが難しい」、また2006年ドイツW杯の日本対ブラジル戦でジュニーニョ・ペルナンブカーノ選手に同種のミドルシュートを決められたGK川口能活選手は「一瞬、ボールが消えた」と証言している。