ディープインパクト薬物疑惑・その後

凱旋門賞から帰国後、東京競馬場で着地検査を受けていたディープインパクト(栗・池江郎、牡4)が10月31日午前、90日ぶりに栗東トレセンに戻った。登録のあった先週の天皇賞は回避したが、池江郎師は「JCと有馬記念を目指してやっていきたい」と残り2戦の出走を明言。ディープから禁止薬物が検出された問題については「不正なんて誰もやっていない」とスタッフを信じていることを強調した。
今年限りで引退、種牡馬入りするディープは、先週の天皇賞に登録がありながら、帰国から日が浅いことを理由に陣営は回避を表明した。池江郎師は、「(JCまで)十分に日にちがあるし、東京競馬場で土曜日(10月28日)に速いところをやっているので、今週末あたりから徐々にピッチを上げていきたい。JC(11月26日、東京、芝2400メートル)と有馬記念(12月24日、中山、芝2500メートル)を目指してやっていきたい」と残された2つのGIに全力を傾ける。
帰国後に判明した禁止薬物検出問題については、「フランスギャロとのやり取りに関しては、事情聴取も終わりましたし、あとは間近に向こうから通知があると思う。もう事情聴取はないと思うし、それによって明確になるでしょう」と説明。予想される凱旋門賞3着の失格、トレーナーに対する罰金などフランスギャロからの通知を真摯(しんし)に受け止めるつもりだが、「我々のスタッフを信じています。不正なんて誰もやっていない」と、普段とは対照的な険しい表情を見せる場面もあった。会見の最後には「立ち向かっていきます」との言葉を残し厩舎に向かった。

今まで沈黙を守ってきた池江調教師が始めて薬物疑惑事件について初めて「不正はやっていない」とフランスギャロの見解に反論を口にした。
自分も前の記事で「薬物が検出されたのは事実だとしても、この事件を日本人スタッフが起こしたと考えるには無理がありすぎる」と書いた。なぜならディープインパクト陣営にとって凱旋門賞を勝とうが負けようがそれで何らかの大きな利潤が生じるわけではないからだ。欲しかったのは世界最強の名誉だけであり、不正を行なって手に入れても何の価値もないことは子供でも解る。
フランスギャロが指摘している「禁止薬物についての使用規定が守られなかった」というのも遠い国から海外遠征までして挑戦する側の調教師やスタッフが全く無知だったとは考えにくい。逆にそういう部分には最も敏感になっていただろう。それに実際に薬物を投与できるのはフランスの獣医師だけということも考え合わせれば、ますます日本人関係者が犯人とは思えない。
日本人スタッフが常についていたとはいえさすがに24時間貼り付きだった訳ではないだろう。競馬関係者を装って第3者が直接介入することは充分に可能だったと思われる。レース結果にかかわらず失格になるように仕向けられたとするならば、犯人像は自ずと絞られてくる。
薬物を投与されたまま出走してしまったのだから調教師に対する処分は出るだろうが、原因だけはキッチリ究明してもらいたい。