ヴィクトリアマイル

第1回ヴィクトリアマイル(14日、東京11R、GI、4歳上牝馬オープン国際マル指、定量芝1600メートル、1着本賞金9000万円=出走18頭)女王復活! 注目の新設GIは、北村宏司(25)騎乗の2番人気ダンスインザムードが最内から力強く伸び、一昨年の桜花賞以来の勝利を飾った。1分34秒0(稍重)。ひとつ下の桜花賞ラインクラフト(1番人気=9着)、秋華賞エアメサイア(3番人気=2着)を完封し、真の女王の貫禄を示した。この後は牡馬相手の安田記念でGI連勝を目指し、夏には2年ぶりのアメリカ遠征の計画も立てられている。北村宏はGI初制覇だった。

今回は新設のGⅠということで、過去の傾向が全くないレース。だが、距離は東京のマイル戦だ。安田記念やNHKマイルCという同じ競馬場の同距離GⅠがある。牝馬限定とはいえ、レースの質はそんなには変わらないはずだ。
で、今回の出走メンバー。実力的に抜けていると思われる3頭の馬が人気を分け合った。

 昨年の桜花賞馬であり東京のNHKマイルCも制した、3枠6番ラインクラフト。
 そのラインクラフトの宿敵であり、秋華賞を制した8枠18番エアメサイア。
 そして一昨年の桜花賞馬・1枠1番ダンスインザムード

昨年、マイル戦においては抜群の実績を残したラインクラフト。暮れの阪神牝馬Sでは連戦の疲れから着外に敗れたが、古牡馬に混じってのマイルCS3着。今年も既に高松宮記念で2着し、そのスピード能力に疑いの余地は無い。
しかし逆に言えば、その有り余るスピードゆえ、本質的に東京の長い直線に向いているとも思えない。昨年のNHKマイルCを勝ってはいるが、出走馬のその後を見ているとレースレベルが高かったとは言いがたい。このときの結果をそのまま鵜呑みにするのは危険だ。


そのラインクラフトと同等の能力を持つのがエアメサイア。単純なスピード勝負ならばラインクラフトに分があるが、こちらは距離に対しての融通性と、騎手に従順な気性の良さがある。今季既にGⅠ3勝。当代随一の鞍上・武豊騎手が操るだけに、馬の調子が普段通りならば、キッチリと力は出してくれるだろう。気になるのは内枠有利な馬場で大外枠を引いてしまったこと。後手を引くとは思えないが、前半無理すると最後の直線で苦しくなるだけに、スタートが全てと言える。



そしてダンスインザムード。この近年で最もレベルの高かった世代の桜花賞馬であり、宝塚記念馬・スイープトウショウと互角の勝負をしてきた実力は、出走メンバーを見ても際立っている。ただこちらはサンデーサイレンス産駒特有の気の荒さがあり、レースまで落ち着いているかどうかが鍵。古牡馬と混じっても好勝負できる実力があるだけに、最内を引いた今回は、久々のGⅠ取りの大チャンス。あとはGⅠ未勝利の北村宏騎手がどう乗るかだけ


3頭共に「帯に短し襷に流し」。どこから入っても良さそうだが、3頭がそのまま上位を独占するとは、自分には思えなかった。レース展開から考えられる予想では、2頭は入っても1頭は脱落する計算になる。
その他では5枠10番ヤマニンシュクル*1。この馬もダンスインザムードと同世代で凌ぎを削った仲。屈腱炎を患い長期休養していたが、鮮やかに復活。秋華賞2着の末脚は現場で見ていたが、すさまじいものがあった。あの切れ味を見ると、この馬の場合はパンパンの良馬場の方がいい。今回は雨が降り続いた馬場の回復具合次第。
馬体重が発表になり、目を引いたのがエアメサイアと穴人気になっているヤマニンシュクルの+12。調教が軽かったわけではないので体調の心配はないと思うが、輸送も加味しての+12というのは、ちょっと重いかもしれない。


いよいよパドックに出走馬が出てきた。周囲は既に立錐の余地も無い。せっかく最前列を取ったので出走馬の写真を撮りながら各馬を細かくチェック。直ぐに目がついたのが人気の一角であるラインクラフト。元々うるさいタイプだが、今日は気合いというよりも明らかにイレ込んでいる。これではタフな追い比べになる東京コースでいつもの力を発揮できるとは思えない。実力で入着はあるだろうが、今日のところは9割方勝つことはないだろう。評価しても3番手まで。
入れ込んでいるラインクラフトと対照的に落ち着いていたのがダンスインザムード。首を伸ばして気持ちよさそうに周回している。「これがあの気の荒かった馬なの?! うそでしょ?」って感じ。古馬になって落ち着いたのだろうが、この日は状態、気配とも万全だ。エアメサイアは、最初は妙に大人しかったので少し心配になったが、周回を重ねるうちに歩様に勢いが出てきた。身体の張りからすれば+12は成長分と受け取っていい。ただ、もうひと搾り欲しい…と思ったのも確か。
この2頭は実力をキッチリ出せるだろう。
それ以上に良く見えたのが7枠13番ディアデラノビア。引き手をグイグイと引っ張り、今直ぐにでも走り出したいという気持ちが前に出てやる気満々だ。溜めれば切れる脚を使えるので直線の長い東京コースは望むところ。しかしネックになるのは、鞍上の岩田騎手が関西所属であり東京コースに不慣れなこと。この日もあまり乗れていないのも気になる。
ヤマニンシュクルも調子は良さそうだ。身体も太くは見えなかった。他には4枠7番アグネスラズべリ。格下であるが連勝中の勢いは侮れない。落ち着いていて、風格だけなら一流馬と遜色ない。その他は可もなく不可もなく。
騎手が騎乗し返し馬を映像で確認して、いよいよ結論。


馬券としてはダンスインザムードエアメサイアが頭候補。少し迷ったが内優位の馬場とエアメサイアの+12を考慮してダンスインザムードに決めた。藤沢和雄厩舎はここが久々のGⅠ奪取のチャンスで、横山典弘という実績の申し分ない主戦騎手がいるにもかかわらず、それでもGⅠ未勝利の愛弟子・北村宏騎手を乗せてきたということは、何度も同馬に乗って慣れているということもあるだろうが、陣営は馬の状態によほど自信があるのだろう。昨年の天皇賞・秋で直線早めに抜け出してしまい差されて負けた経験も生きてくるはず。
負けるとすればエアメサイアが上手く立ち回ったとき。鞍上が武豊ならば、隙あらば必ず持ってくるだけの技量がある。混戦での強さは心強い。
馬券は最近調子がいい3連復で

  1,18-1,6,7,10,13,18

の計20点を厚めに購入。ラインクラフトが入ったら収支トントンになるが、そこは買う金額でカバーできるようにした。
あとは3連単

  1-10,13-6,7,10,13,18

と末脚が切れる2頭を抜擢。ダンス→エアの順番にしなかったのは配当的なこともあるが、東京は上がりタイム優先で考えたほうが当る確立が高くなるからだ。特にディアデラノビアは過去最高の出来と思えるだけに、もし2着に食い込めば大きな配当になる。ヤマニンシュクルは応援の意味も込めた。
かくしてレースは内から抜け出したダンスインザムードが圧勝!! 2着エアメサイア、3着ディアデラノビアで馬券的中。これで「チナッチャブル」のCD代金は出た(笑)
4着の3枠5番コスモマーベラスの粘りには舌を巻いた。コスモマーベラス絡みは全く買って無かったので思わず「ヤメテクレー!!!(;≧人≦)」と祈ってしまったが(苦笑)さすがベテランの柴田善臣騎手だ。乗れている騎手には注意を払わなければならないと改めて思い知らされた。
北村宏騎手は8年目にしてGⅠ初制覇。おめでとう!!

*1:実は母・ヤマニンジュエリーをかつてPOGで持っていた経験があり、馬券はともかく応援はしている。