怪物、再び降臨!!

天皇賞・春】ディープ世界へ飛ぶ!衝撃のレコードV!
第133回天皇賞・春(4月30日、京都11R、GI、4歳上オープン国際、せん馬不可、定量、芝・外3200メートル、1着本賞金1億3200万円=出走17頭)次は海外制圧だ。天皇賞・春は、単勝110円と断然人気のディープインパクト栗東池江泰郎厩舎、牡4歳)が3分13秒4の世界レコードで圧巻V。21年ぶりに誕生した無敗3冠馬は06年初GIで4冠を達成し、いよいよ初の海外遠征で5冠に挑戦。さらに進化した21世紀の名馬は、もう負けない!

鳥肌が立った。怪物ディープインパクトが3分13秒4の衝撃的な世界レコード。武豊騎手は誇らしげに指を4本立てて、4冠、さらに国内最強を宣言した。
「改めて驚きました」
昨年の菊花賞で無敗3冠を決めた思い出の京都でディープと断然人気に応えた武豊騎手は、指を4本立て、誇らしげに「4冠」をアピール。ユタカの言葉がすべてを物語る。飛び上がるようなスタートで出遅れ、後方2番手を追走するディープ。以前のように折り合いを欠くことなく1周目のスタンド前を通過した。「距離もあるし、リズム良く走らせることだけを考えていた」が、飛ばしていた馬たちの脚が上がり、1400メートルを通過したあたりから急にペースが落ちた。「じゃあ俺が先に行ってやる」と動き出したのが、京都名物の坂の上り。まだ残りは1000メートル。常識破りのロングスパートに場内が騒然となる。
天才の決断にディープも瞬時に反応。抜群の手応えで前を行く15頭を次々とかわす姿にファンの視線は釘付けだ。いつもは豪快に差し切るディープが、残り3ハロン(600メートル)で何と先頭。再び場内がどよめく。“こんなに早く先頭で大丈夫か?!”−。しかし、心配は杞憂に終わる。短距離戦並みの33秒5という豪脚で、ゴール前は手綱を緩める余裕も見せ3馬身半差の圧勝。出遅れ、途中で脚を余計に使いながら、最後の4ハロン(800メートル)を11秒3−11秒0−11秒2−11秒3と天皇賞史上最速のラップで走るとは…。ただ驚嘆するばかりだ。
「最初の2分は苦労しましたが、後の1分は飛びましたね」。にこやかにインタビューに応じるユタカ。有馬記念では、それまでのように“宙を飛ぶ”走りが見られず初めて2着敗退。苦い思いを胸にレースに臨んだ。「きょうは、ちょっと飛ぶ位置が早過ぎましたけど(笑)。強いディープでうれしかった。(世界に)ディープ以上に強い馬が存在するとは思えない。この馬なら世界のビッグレースを勝つという僕の夢をかなえてくれる」。自身の最多勝記録を更新する天皇賞・春6勝目を挙げた“平成の盾男”は幸せそうだ。
次は世界挑戦。6月21日のプリンスオブウェールズS(英アスコット、芝2000メートル)、7月29日のキングジョージVI&クイーンエリザベスS(英アスコット、芝2400メートル)、10月1日の凱旋門賞(仏ロンシャン、芝2400メートル)の3つのGIが候補だが、有力なのは“キングジョージ”と凱旋門賞。3冠ボーナス1億円を含め、これで獲得賞金9億8444万5000円となり、有馬で後塵を拝したハーツクライを抜いて現役1位(歴代9位)となったディープインパクト。早く世界制圧する姿を見せてくれ。

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勝つのは判っていたけれど、それにしても派手な勝ち方でしたね。
まずスタートの出遅れ。過去にもあったことなので武豊騎手も想定内だったと思いますが、ひょっとしたら長距離ということを意識して「わざとゆっくり出した」のかもしれません。菊花賞の時に、スタートが良すぎて最初の1コーナーでかかってしまったことも頭の隅にあったでしょう。それを踏まえて最終追い切りの騎乗者を調教助手に替えたり工夫をしたそうです。
レースは向こう上面の少しペースが落ちたところで徐々にポジションを挙げ、2週目3コーナー過ぎには中段7番手。そこから馬自身がエンジンをかけて(武豊騎手もこの場面には「あれっ?」と思ったようだ)4コーナーではインを突いてなんと先頭!! そこから鞭が一発入るとあとは独壇場。最後の4Fを全て11秒台でまとめて上がり33.5で走られては、後続はなす術もない。
2着リンカーンにしても普通なら完全な勝ちパターン。横山典弘騎手の敗戦後のコメント「時代が悪いよ、時代が」というのは、正直な感想でしょう。
ディープインパクト陣営は、国内最強を証明して見せたことで海外挑戦を名言。
武豊騎手も「これ以上強い馬が世界にいるのか?」と珍しく「挑発」ともとれる発言をしたことでも判るように、この馬の圧倒的な力は近い将来、世界を飲み込むかもしれません。
このまま行けば英アスコット競馬場で、唯一敗戦を喫したハーツクライとの再戦、また日本競馬に因縁のあるMontjeu*1の仔で凱旋門賞馬・ハリケーンランとの対決も期待できますね。

*1:1996年生まれ。父Sadler's Wells 母Floripedes(母の父Top Ville)凱旋門賞エルコンドルパサーを破る。その勢いでJCに出走するもスペシャルウィークの4着に敗戦。しかし翌年キングジョージエアシャカールを破る。他にも欧州最強マイラードバイミレニアムBCターフを勝ちワールドシリーズ・レーシング・チャンピオンシップを2年連続制覇したファンタスティックライト、世界を股にかけた中距離王者・デイラミ、ドイツ最強牝馬・ボルジアなど超ハイレベルな世代の頂点に君臨した名馬。