有馬記念観戦雑記

ryan-giggs2005-12-25

有馬記念>◇25日=中山◇G1◇芝2500メートル◇3歳上◇出走16頭
ハーツクライ(牡4、栗東・橋口)が直線で抜け出し快勝した。道中3、4番手につける積極策をとったルメール騎手は「スタートが良くいいポジションをとれた。大きなレースを勝てて、とてもうれしい」と語った。  3冠馬ディープインパクト(牡3、栗東池江泰郎)は追い込んだものの届かず2着で、史上初めての無敗での優勝はならなかった。
馬連(6)(10)は750円、馬単(10)(6)は3320円、3連複(6)(10)(14)は2970円、3連単(10)(6)(14)は3万500円。

うまッチ!」の内容を確認し、発表された予想をサイトにUPしてから出発。
当然深夜なのだが、友人Y氏のご好意により車で近くまで迎えに来てもらった。感謝!
途中もうひとりの友人W氏を拾ってから現地に向かう。
午前4時過ぎに中山競馬場前の有料駐車場に到着。このときにはまだそれほどでもなかったが、車内のTVで男子フィギュアスケートを見ながらまったりしていると、続々と車で観戦に訪れた人たちが到着。あっという間に駐車場が埋まっていく。
1時間後に様子を観に行くと、既に西門でも一般道近くまで列が伸びていた。慌てて車に戻り防寒装備を整える。競馬ファンではないY氏とW氏はもう少し暖かくなってから出ると言うので、とりあえずひとりで出発。一度西門まで行くが、警備のおじさんが開門時間が7時20分であることと正面地下入り口のほうが寒さを凌げると教えてくれたのでそちらに向かうことに。チケットを出して入場すると既にレーシングプログラムを配っていた。この日は記念大会用の特別仕様。既に泊り込みをした人を中心に館内も一杯だったが、風を凌げる入り口付近はまだ疎らな感じ。様子を伺って、パドック方面に直接上がる階段から伸びる列に並ぶことを決断。早速断熱シートを広げて座り込む。Y氏に一度連絡を入れて様子を伝え、シュラフを広げて少し寝ておこう…と思ったがこれがなかなか寝つけない。
一度館内のトイレに行って戻ると急に後ろから肩をポンポンと叩かれた。振り向くと眞鍋さん系の旧友・M氏。えっ?島根に戻ったはずなのになんでここにいるの???
聞くと弟さんが競馬好きでわざわざ島根から有馬記念…というかディープインパクトを近くで観たいと言うので付き合って出てきたらしい。すぐ前の列にいるので、どうせ連れは開門直前にならないと来ないから、と断熱シートに座ってもらいシュラフを広げて一緒に暖をとる。話をしながら時間を潰したので退屈はしないで済んだ。M氏たちはパドック最前列狙い。1日中日陰ゆえにこちらで使う予定のないシュラフを1日貸すことを約束。7時ごろY氏より電話。どうやら入り口が解からずに迷ったらしい。程なく合流しそのまま開門を待つ。
定刻通り入り口が開くと、全員席取りのためにダッシュ!当初は「去年来た時の館内の暖かいところに1日いよう」なんて言ってたが、これだけ早く入れたのならスタンドのいい席が取れるかもしれない!予定を変更してコース側に針路変更。最後の坂を登ってくる絶好の勝負所を正面に見れる座席を断熱シートを広げて確保。余談ですがこのシート。薄くて安かったんだけど、折畳式でジャマにならないし、いざ座る段階でもお尻の下が冷えなくて良いから便利なことこの上ない。そこに一旦余計な荷物を置いて、更に午前中だけ暖かく過ごす為の場所を確保しに館内へ。と、ちょうど良いところに座席が3つあったので、新聞広げて場所取り。W氏に留守番してもらい、一旦スタンド席から荷物を取って、パドック最前列を確保したM氏に連絡しシュラフを渡す。この時点でやっと落ち着いた。
他のレースには手を出さずに有馬記念に集中。朝のうちはそうでもなかったが、4Rが終わる頃になると館内も随分込み合ってきた。予想される入場者は17万人強。動きづらくなる前に少し早く昼食を取る事にして、館内座席を引き払うことに。一旦スタンド席の様子を見て地下にあるフードスペースへ向かうが、既に歩きづらいぐらいの人が並んでいた。比較的人の流れがよいカレー店を選択。立ち食い状態で腹を満たし、スタンド席へ。午前中は強かった北風も止んで、日も出てきて暖かいなぁ…なんてのも7Rぐらいまで。スタンドの影が伸びてきて日陰になると途端に冷え込み始める。この頃になるともう自分たちのすぐ目の前まで人が溢れだしている。そろそろ馬券を買わないとレースに間に合わなくなるかもしれない。Y氏とW氏は午前中に購入済み。パドック派の自分としては辛いところだが、ここまで来て馬券を買えなきゃ何しに来たのか解からない。意を決して馬券売り場へ。
予想は既に固めていたけど、その資金配分を決めかねていた。馬券はを買う以上は儲けてナンボ。外れてもマイナスを最小限にしなければならない。大本命ディープインパクトを絡めた場合はどうしても配当が低くなる。オッズプリンターを何度も確認し、最低配当できた場合「当ってマイナス」にならないようにしながら、ディープインパクト1着固定の3連単流し馬券を購入。馬券購入後に馬体重が発表された。ゼンノロブロイが+12キロだとっ?…しまった、発表を待ってから買うんだった…_| ̄|○ |||
座席に戻るとお互いに身体を横にしながらでないと通り抜け出来ないぐらいになっていた。ここからはもうあまり動かないほうがいい。
自宅でTV観戦をしているK氏よりメール。パドックの様子を聞いてきたが、もう既に動けないことを返信。どうやらディープインパクトがあまり良く見えないらしいが、今となっては確認して買い直すこともできない。
刻一刻と迫る時間…あとはメインの有馬記念という段階まで来ると、人ごみに押された人が度々こちらに倒れかかってくるぐらいで、ただ座っていることさえ出来ない。已む無く靴を脱いで椅子の上に上がる。後ろの人には申し訳なかったが、こちらも危険回避をしないとたいへんだ。しゃがみながらカメラを組み、馬場入場を待つ。ディープインパクトが出てきたときはすごい大歓声!返し馬を撮りたかったが、スタンドの喧騒を避けるように逆方向に行ってしまった。入れ込みを考慮したんだろうけど残念。
場内は本当に立錐の余地がないぐらいになっている。
スターターが歩き出すのがターフビジョンに映ると地の底から響くような大歓声が巻き起こる。これから起こる新たな奇跡を1頭の馬に託して…ファンファーレが響き渡り、いよいよレーススタート!これが引退レースとなるタップダンスシチーがハナに立ち1周目の馬群が目の前を通っていく…とそこに最初のありえない風景が…えっ!?ハーツクライが3番手!?��( ̄口 ̄;)
…15年以上キャリアがある競馬ファンとして、この時点で今日はハーツクライにやられるかもしれないという暗い予感が頭をもたげました。それでもディープインパクトならば…と思っていたのも事実。
しかし約2分30秒後、それは本当に現実になってしまった…。


レースが終わった直後は、なんともいえないどんよりとした空気が充満していました。レース後にこんなに静まり返った風景を観たのは初めて。例え人気馬が負けてもどよめきと番狂わせに対する歓声が起きるものだけど、「静まり返る」というのはそれだけ受けたショックが尋常でなかったということだ。ハーツクライが勝ったことを祝福するでもなく、そこにいた全ての人が本当に言葉を失ってしまい、目の前で起こったことが悪い夢であって欲しい…ただただ呆然と立ち尽くすしかなかったのだ。
馬券の当たり外れはともかくとして、みんなディープインパクトが期待通りに勝ってくれるというハッピーエンドを信じて疑わなかった。
そしてその通りになったならば、きっと素晴らしいクリスマスの夜になっていたはず。
どうせ負けるのならばボロ負けしてくれたら「3冠と言えど所詮は3歳馬ってこと」と溜飲も下がったと思うのですが、勝てる位置にいながらも伸びきれなかったという事実が余計に、ノドの奥に引っ掛って取れない魚の小骨のような違和感を残してしまった。
勝負の世界は非情と言われればそれまでだけど、いろんな意味であまりにも重過ぎる敗戦。
今後ディープインパクトが巻き返したとしても、この日以上の盛り上がりは望めないでしょう。
今日のタイトルは、プロレスラー・前田日明選手が現役時代のときに当時保持していたIWGPタッグ選手権を防衛した後、食って掛かる新日選手たちを相手に自らを戒めるが如く残した名言。
ディープインパクトの敗戦を目の前で目撃した今、期しくもその言葉を思い出しました。

写真はレース後に中山競馬場のメインスタンド前に聳え立つクリスマスツリー。
夕映えの時間を狙って撮影してみました。