浅田真央、女子スケートグランプリファイナル優勝!

フィギュアスケート:GPファイナル>◇2日目◇17日◇国立代々木競技場  15歳の天才少女が、ついに世界の頂点に立った。浅田真央(グランプリ東海ク)が、ショートプログラム(SP)に続き、フリーでも自己ベストを更新する125・24点をマーク。今季無敗だった女王スルツカヤをおさえ、合計189・62点の自己最高記録で完全優勝を遂げた。しかし、国際スケート連盟(ISU)のチンクアンタ会長が、年齢制限で五輪出場資格のない浅田に対し、特例措置を適用しないことを明言。トリノ五輪への夢を絶たれた浅田だが、五輪前に世界一の実力をアピールした。

スポーツにおいて一流選手というのは星の数ほどいるが、本当に天賦の才に恵まれたとしか言いようのない人物がごくまれに現れるときがある。
浅田真央。この日行われた女子スケートグランプリファイナルにて女子スケート界に君臨する女王、イリーナ・スルツカヤ(ロシア)をサシの勝負で破り、わずか15歳にして女子スケート世界一の称号を手に入れてしまった。
TVでフリー演技を観ていたが、他の選手が重しでも付けて滑っているように見えるぐらい、まるで羽が生えているかの如く軽やかに氷上を舞う。指の先端まで神経が行き届いた迫真の演技ではないが、若さという特権を生かした実に瑞々しく生き生きとした演技に、観客は心からのスタンディングオベーションを贈ることをいとわなかった。スケーティング技術に関しては既にスルツカヤを寄せ付けないほどの実力を持っているが、彼女の真に凄い所はその部分ではない。
初日の規定で1位になり、この日のフリー演技はスルツカヤの後に滑るという状況。そのスルツカヤがノーミスのほぼパーフェクトな演技を見せた後、まるでそこに何もなかったかのような風情でさらりとノーミスで滑りきってしまう心臓の強さ。確かに今現在の規定では目前のトリノ五輪をハナから諦めなければならない状況なので代表選考という意味でのプレッシャーとは無縁だったのかもしれないが、それでも世界の女王と優勝争いをしている状況を考えれば、少しは勝負の重圧を感じてもおかしくないのだが、この娘の場合は、ただただ大観衆の前でスケートを滑るということを素直に楽しんでいるだけなのだろう。余計な欲がないから、失敗を恐れずに何にでもトライすることができるのだとおもう。
一方そのプレッシャーに押しつぶされた恰好の安藤美姫。ロシア杯で2位になったものの、日本で行なわれた2試合は、女子でただ一人飛べるという4回転ジャンプはおろかまったく本来のスケーティングさえみせられずに終わった。肝心なところでここ一番の集中力を欠いた原因は、疲れなどではなく、日本の加熱するマスコミや周囲の雑音の多さにあるのかも。今回は悲劇のヒロインになってしまった感があるが、素質は一級品だけに巻き返しを期待したい。

それにしても国際スケート連盟(ISU)の『規則だから五輪出場の特例は認めない』という見解は理解できるものの、『技術ではなく身体的な要素を考慮している』という理由付けには首を傾げる。実際にそれを超越してしまったものが存在する以上、紋切り型に年齢で区切るのではなく、キチンと身体能力を測定するなりすれば(今の医学ならば難しいことではないだろう)、例え落選するにしても同情論に湧く世間も納得するだろう。サッカーでは中学生がプロリーグで活躍している世の中なのだ。伝統や規則は遵守すべきものだとは思うが、凝り固まった旧体然とした体質は改めていかないと世間からソッポを向かれる。業界が盛り上がっている今こそ、競技者自身や観る側全てが納得できる道を探す努力はすべきではないだろうか?