トヨタカップ・ラストゲーム

FCポルトVSオンセ・カルダスの1戦は両雄譲らず、最後はPK戦の末にFCポルトの勝利。
カード的には決して恵まれたものではありませんでしたが、最後を飾るに相応しい死闘でした。

一発勝負のため、どちらも守りを固めて試合に望んだのですが、こう着状態に陥ることなく、特に後半はひじょうにスリリングな展開を見せてくれました。自分的にはオンセ・カルダスの左サイド選手がテクニック抜群でキープ力もあり上手いなぁ…なんて観ていましたね。

長く世界への扉を閉ざされていた日本にとって、世界のサッカーを直に目の当たりに出来たのがトヨタカップ。まだ巷にはサッカーよりも野球少年が多かった時代、自分もちょうど中学で初めてサッカー部に入り汗を流していたまさにその頃に、トヨタカップは始まった。TV中継の中で繰り広げられる見知らぬ外国人選手の華麗なるテクニックの数々は、それまでは日本リーグとか天皇杯ぐらいしか知らなかった自分にとって驚くべきものであった。しかしそれと同時に日本サッカーのあまりの稚拙さを思い知らされ、それ以降自分の興味は海外サッカーに移ることになってしまった。しかし当時は海外サッカーの中継などは行なわれておらず、ゆえに1年に1度だけ必ず行なわれる欧州と南米のチャンピオンの一騎討ち・トヨタカップだけは自分の中に『世界のサッカーを日本で見れる唯一の機会』として欠かせないものになっていった。

数々の名シーンを生んできたこの大会が消えるのは寂しいことであるが、時代が変わりサッカーそのものが本当に世界に通じる『共通言語』となった今、その役目を終えるのは当然のことなのだ。

来年度以降は、世界クラブ選手権というより世界に向けてより大きく規模を広げての大会は、昨今のW杯と同じくその大会レベル自体を疑問視する声もあるが、そういったものは徐々に時が解決していくと思う。厳しい競争を勝ち抜いてきた世界の一流選手が集まるであろうこの大会が、トヨタカップと同じく、これからも日本サッカー界に様々な刺激を与えてくれることを願ってやまない。