人生の転機、そして決断

新年早々ですが、自分は立場的にもこの話題を避けて通る訳にはいきません。


去る12月31日、若槻千夏さんが自身のブログの閉鎖とともに今後第一線の表舞台からは身を引く旨を発表しました。


最近の活動具合から世間でも「休業」あるいは「引退」という活字が飛び交っていましたが、そういった喧騒や噂話の横行に対し、自身で「一応の」決着を出したカタチです。


発表したのが大晦日の新年も押し詰まった時だったため正月編成に助けられてそれほど大袈裟にはならなかったですが(おそらくそれも狙いの一つだったのでしょう)、通常編成に戻ったらワイドショーの芸能ニュースでも報道されるでしょうね。



世間ではこの突然の発表に困惑する向きが多いようです。

自分も最初は「何故この時期に?」という疑問が浮かびました。

が、落ち着いて考えると、成る程と合点がいく部分や思い当たる節がいろいろありました。



(これ以後は、自分の感情的な理由もあり、若槻千夏さんを「ちぃちゃん」と表記します)



思えば、06年に病気療養をし、その復帰明けの07年1月18日から始めたちぃちゃんのブログですが、僅か1年弱で最も人気のある有名人ブログの一つになり、ついにはランキングから殿堂入りを果たすなど、輝かしい実績を残してきました。


しかしながら、ブログが有名になればなるほど、ちぃちゃんが思い描いていたような気軽なおしゃべり場ではなく、思ってもみなかった影響力を持つようになり、独り歩きを初めてしまった。
またそれと同時に、周囲の期待もプレッシャーに感じるまで目一杯高まってしまったように思います。



ちぃちゃんは見た目とは違い、非常に責任感が強く気真面目な、そして繊細な心の持ち主です。

自分のことより、出来るだけみんなの期待に応えたい、とブログも仕事も続けていたはずです。

ですが、周囲のちぃちゃんへの期待や理想は、いつしかちぃちゃんが考えていたたものより遥かに大きく、そして自分の思い描く方向とは擦れてしまっていたのでしょう。

それでも何とか追いつこうと必死になって背伸びもした。だか、それは自分に相当の無理を強いる事になり、遂に矢折れ力尽きた…

真面目なちぃちゃんには理想と現実のギャップが徐々に広がっていく日々は、精神的にもかなり辛かったと思います。

普通なら「何でも自分の思い通りになる訳じゃない。甘ったれるな!」と言いたいところですが、ちいちゃんにはそうもいかない理由があります。

慢性大腸炎という完治の難しい病を抱える体調面の心配です───。



一昨年秋、そういった精神的な負担が重なった事が原因にもかかわらず、ぎりぎりまで我慢して病を悪化させた以上、ちぃちゃんの心の中にも「これ以上続けて何かあると…」という不安は当然常にあったでしょう。

周囲に迷惑をかけないためにも、無理だと感じるなら早めに手を挙げるという判断は間違いじゃありません。立派な大人の判断だと、自分は評価します。



テレビタレント業は時間がとても不規則でハードです。本人が続ける気があっても体調面に不安があると、どうしても身体に無理がたたります。
かといって仕事をセーブすればマスメディアへの露出が減り、結果的に自身の収入も減る。

最近の更新分でも、愛車を手放したり引っ越しする旨を書き込んだり、まるで身辺整理のような行動がうかがえましたが、今にして思えば、全て合点がいくものでした。


おそらく一昨年暮れに復帰する際、事務所さんと相談して

「仕事を選びながらとりあえず1年やってみて様子をみる。その後続けるかどうかはその時の状態を見て判断する」

という結論を出していたのではないでしょうか?
ひょっとしたら、ブログも最初から1年をメドにしていたのかもしれません。

そして1年続けた上で、最終的にはちぃちゃん自身が総合的に判断して第一線の表舞台から退く事を決めた。



ちぃちゃんはデビューしてからしばらくして

「10年後にはグラビアアイドルのマネージャーになってる。自分の通って来た道を実体験を後輩に教えられるから」

とインタビューでひどく現実的な解答をしてたことが思い出されます。

その時は半分冗談だったのかも知れませんが、早い段階から自分をいつも支えてくれている裏方さんの仕事にも興味を持っていたことは確かです。


病気療養以後、今後の自分の将来について考えた時、「タレントを続けられない場合でも何とか自分を育ててくれた世界に残れないだろうか?」という思いから、別の選択肢を選ぶのはある意味当然の帰結であり、自分には納得出来るものです。



ただブログの最後の更新分でも書いているように、最終的な決断をするまでには相当な葛藤があったはずです。

いままで自分を応援してくれた多くの人の、タレント・若槻千夏への有形無形の期待を一旦全て反古にする事になるのですから。

そして何よりタレント業という仕事をちぃちゃん自身がとても好きで、愉しんでいましたから。

だけど「世間が求める若槻千夏」を提供できない以上、いつまでも名前にしがみついてぶざまな姿を曝すのは、還って、今まで応援してくれた関係者やファンに失礼なんじゃないか?

今ならば綺麗な花を咲かせたままで若槻千夏を終えられるのだから、辞め時を間違えたくない。

そして自分がもっと経験を積んで人間的にも大きくなり、いずれは自分も何らかのカタチで業界に恩返しできたら。


いつも周囲の人々に支えられてきた事を一番良く理解しているちぃちゃんだからこそ、そんな風に思ったのではないでしょうか。


今回「休業」や「引退」という表現を否定したのは、芸能界から身を引くのではなく「転身」という道筋を選んだから。


「今までの若槻千夏」はもう見られない。

それはそれですごく淋しいものがあります。

だけど表で見える姿が無くなっても、自分にとってのちぃちゃんは、いつまでもありのままのちいちゃんです。


近い将来、また別のカタチでちぃちゃんと再会出来る事を祈って───。