フローラS結果

<フローラS>◇22日=東京◇G2◇芝2000メートル◇3歳牝◇出走17頭
圧倒的な1番人気に支持されたベッラレイア栗東・平田)が、大外一気の差し切りを決めた。直線に向いた時は後方集団。先頭のイクスキューズ(美浦・藤沢和)とは10馬身以上の差があったが、坂上からグイグイ差を詰め、馬群を割って抜けてきたミンティエアー美浦・勢司)を首差とらえた。勝ち時計は2分0秒8。
秋山騎手は「道中は流れが緩くて嫌な感じだった。最後もなかなか外へ出せなかったが、よく頑張ってくれた。素晴らしい馬に乗せていただいて、本当に感謝している」と興奮気味に話した。オークスでのダイワスカーレットウオッカとの対戦が楽しみになった。
馬連(2)(3)は870円、馬単(2)(3)は1210円、3連複(2)(3)(10)は1640円、3連単(2)(3)(10)は5470円だった。

家を出る前にフローラSだけテレビで確認。いや〜、ベッラレイア強すぎ!

ナリタトップロードは現役時代に菊花賞を勝ったり、阪神大賞典の勝ちタイム3分2秒5の芝3000m日本レコードタイムを持っているように、この血統特有の隔世遺伝で祖父に当たるディクタスの影響力が強く*1、中長距離でのスタミナ勝負に強い馬だった。現役引退後は僅か3世代のみを残して2005年に心不全で早世したが、その中から出てきた娘は父になかった驚くべき末脚を持っていた。

正直今回は鞍上の秋山騎手は下手に乗ったと思うんですよ。逃げたイクスキューズのペースは絶妙だったし、馬にもう少しスタミナがあれば完全に逃げ切れた。対してベッラレイアは道中の位置取りはともかく、最後の直線で前が詰まってなかなか出せず、残り200手前で前にいる馬がゴーサインした後にようやく進路を大外まで持っていく大幅なロス。こんな競馬したらどんなにいい脚を持ってても届かないのが普通。しかしそこからがこちらの予想をはるかに上回っていた。まるで他の馬が急に止まってしまったかのように一完歩ずつ前との差を詰めていくと、ついにゴール前でイクスキューズと先に抜け出したミンティアーを頭差捉えて入線。芝の状態が良い開幕週の馬場とはいえ、これほど切れる脚はそうそうお目にかかれない。シーザリオオークスを勝った時以来ではないか。

この異次元の末脚は間違いなく祖父サッカーボーイから受け継いだもの。阪神3歳ステークスに勝ち3歳チャンピオンに選ばれながら、春クラシックは蹄の不安から体調を崩し惨敗。しかし体調を戻して望んだ函館記念メリーナイスシリウスシンボリの2頭の日本ダービー馬や牝馬2冠馬マックスビューティを従えて当時の芝2000m日本レコード1分57秒8で5馬身差圧勝を演じたあの伝説の豪脚は、孫娘にしっかりと引き継がれていた。

春の牝馬クラシック戦線というのは、毎年おおむね2歳デビュー馬の勢力図がそのまま移行していく傾向にあり、年明けデビュー馬が活躍することは稀なのだが、デビュー3戦目の芝2000mでこれだけのレースを見せているのならば、桜花賞組と比べても能力は遜色ない。ただ一点だけ気になるのは馬体。今回でデビューから-14キロ。余計な脂が抜けたと考えられるならいいが、現在で450キロを切っているのに加え、関西馬なのでオークスに向けて再び輸送をクリアしなければならない。この中間はいかに馬体を立て直すかに細心の注意が払われるだろうが、だからといって過保護になってもダメ。本番は馬の見た目と馬体重に気をつけたい。

*1:サッカーボーイ産駒には他にキョウトシチーゴーゴーゼットヒシミラクルティコティコタックアイポッパーなど、その殆どが中長距離で活躍しているように、極端なスタミナ血統に出る場合が殆ど。