ディープインパクト薬物使用疑惑〜推理

ドーピングという手段が使われたということは、イコール真犯人にとってディープインパクトがレースに勝とうが負けようが関係無かったということ。つまりレースの勝ち負けで得られる対価を直接手にする者は犯人になりえない。それ故にまずイカサマがらみではないだろう。イカサマ=八百長とは、どちらかが勝ちどちらかが負けることを前提としているからだ。
ディープインパクト陣営は「凱旋門賞」という名声が欲しくて遠征したのだから、レースにはどんなことをしても勝たなければならなかった。だからドーピングを行なったのでは?』というのがフランスギャロの頭の悪いバカどもの考えらしいが、それは先に書いた通り、ディープインパクトが既に種牡馬としての価値を不動のものにしていたことを考えればありえない話だ。せいぜい「運がよければ凱旋門賞って勲章を付け足せるかもねー」って程度だろう。それに陣営が本当に欲しかったのは、「凱旋門賞というタイトル」ではなくて、むしろ「現時点で世界一強い馬という称号」の方だったといってもいい。今の社台グループの馬産レベルならば凱旋門賞やBCを勝てる日本産馬はこれからいくらでも作れるはず(最初から本気出せば、…ネ)。しかし「世界最強」と世界中の誰もが認める馬はそう簡単に作れるものじゃない。
今回はディープインパクトという過去最高の日本産馬の強さを世界に認めさせるための挑戦であったし、そこでおかしな小細工して勝ったところで何の価値も無いことは、勝負事に対して生真面目で潔い「武道」を重んじる日本人であれば誰でも判るだろう。したがって今フランスギャロ側から出されている見解は全くのお門違いである。
むしろ、このドーピング騒動で一番得をしているのはフランス競馬関係者もしくはライバル陣営のほうだと自分はいいたい。どう転んだとしても得るものはあっても損を被ることが無いからだ。
まずディープインパクトにナイショでイプラトロピウムを一服盛っておき、何事も無くレースに出走させるようにする。ここでもし万が一レース前に故障などで出走回避しても、それは最初から日本からの参戦予定が無かったと考えれば損得は何も発生しない。イプラトロピウムは日本での禁止薬物リストに入っていないので、その後に何の問題も発生しない。
そしてレース当日。日本人のディープフィーバーに便乗して馬券の売上(もちろんディープ絡みの馬券)が伸びる。これは全てフランス競馬界に還元される。例えディープインパクトに勝たれても異常な単勝人気になっているので払い戻しは最小限。負けたら負けたでそれは欧州競馬の面子を守ったことになる。そして勝っても負けてもドーピングで陽性反応が出るのだから後々の失格処分は免れない。賞金は返還されるし、関係者からも罰金徴収。さらに結果的には欧州競馬の面子をも守ることになる。
もう少しツッこんで考えれば、ディープインパクトの持つ血統的なことも背景にありそうな…
導入以後あっという間に日本の血統史を塗り替えたサンデーサイレンスという大種牡馬の血を欧米の馬産家が注目していないわけがない。残念ながらサンデーサイレンスは既に此の世にいないが、その最高レベルの後継馬ならば多少は手に入れやすいはず。しかしこのままいけばまたジャパンマネーで種付け料が高騰してしまうのは目に見えている。ちょうどお誂え向きに凱旋門賞を走りにくるらしいので、ならば若干小細工をした上で走らせてみて、後に失格にすることでディープインパクトの能力を探った上で種牡馬としての商品価値を少しでも抑える。種付け料が安くなれば欧州にもその血を導入しやすくなるのでは…?なんてね。
後に残るのは「誰を人身御供にするか?」。
初っ端から「日本の関係者が勝手にやったんだろう?」なんて声明を出したら、さすがにJRAだって黙っていないだろう。故に「直接治療に係ったのはフランスの獣医師だが、その後は調教師を含む日本の関係者が獣医師の指示通りに投薬しなかった」なんてもっともらしい言い方をしているのだ。いい迷惑なのは現場を担当した獣医師。そりゃ「私は関係してません」って言うに決まってる。でも、フランスの競馬規定ではフランスの獣医師しか薬物処方はできないから、この獣医師が処方したのでなければ誰なのよ?って話になる。
まぁココで書いたのはあくまで個人的な「推測」に過ぎない。が、少なくとも日本人関係者がこの事件に関与したとは到底考えられない。可能性はゼロではないけど、動機を考えれば考えるほど無理がありすぎるのだ。
相手はオールカマーで開催された第1回凱旋門賞を英国馬に勝たれてしまい、その翌年に「フランス国内で半年以上調教された馬」と即座にルール改正をしたようなお国柄。同じ欧州ならともかく、アジアの小さな島国ごときに伝統あるフランス競馬の面子を潰されることを良しとはしないだろうことは容易に想像がつく。
「極めて残念だ。凱旋門賞が偉大なレースである事実に変わりはない。フランス人の心情も理解できる。しかしイチャモンはイチャモンだ」
この落とし前はキッチリつけていただこう( ̄ー ̄)