【K−1 WORLD MAX 2004〜世界王者対抗戦〜】

今回はワールド・グランプリ以後の初戦、7名ずつの日本人選手と外国人選手の戦いを中心とした大会でした。
本年度のWORLD MAX王者ブアカーオ選手(タイ)と”超合筋”武田幸三選手のムエタイ対決、ボクシングWBCのローカルチャンピオン、マイケル・ラーマ選手(アメリカ)と最近は俳優までこなすイケメントータルファイター・須藤元気選手が2大メイン。その他、WORLD-MAX JAPAN王者・小比類巻貴之選手VS'02 WORLD MAX王者アルバート・クラウス選手(オランダ)の好カード、山本“KID”徳郁選手VSジャダンバ・ナラントンガラグ選手(モンゴル)がバーリトゥードで対戦…となかなか興味を引かれるラインナップ。
まず強いなぁと思わせてくれたのが、ブアカーオ選手。武田選手もローキックからのカウンター狙いで互角の戦いをしたものの、ブアカーオ選手の強烈な左ミドルキック連発で主武器である右ストレートを封じられては…武田選手の右半身がそれとわかるぐらい真っ赤になっていくのはTV見ていても痛さが伝わってきました。最後は再延長で2度のダウンを喫して武田選手が負けましたが、試合直後の顔がやけにすっきりしていたのがちょっと気になります。
小比類巻選手は1Rに得意のヒザ蹴りで奪ったダウンがものをいいクラウス選手に判定勝ち。ボクシング特訓を重ねたようですが、試合ではパンチ自体はあまり出すことなく。もっぱら常に自分の距離感を保って戦っている部分に技術的進歩を感じました。ただ相変わらず試合後半のスタミナ切れが目立つ。きっと集中しすぎて余計にスタミナをロスしているんでしょうけど、1マッチならさておき、強豪とのトーナメント戦で勝ち抜くにはキツイ。まぁでもこの試合に限って言えば完勝と言って良いでしょう。
須藤選手は元々総合系ですが、今回は相手がボクサーということもあってK−1ルールでの戦い。相手がチャンピオンクラスとはいえ実体はソコソコ強い程度なこともあり、これもヒザ蹴りによる裂傷でTKO勝ち。ラーマ選手はボディーブローに見るべきものがあったものの、ボクサーがバックブローで綺麗にダウンを奪われたシーンには、ちょっとトホホ。
バーリトゥードの軽量級で今一番注目を集めているのが山本選手。K−1参戦以来様々なルールの元で4戦4勝。立ってよし寝てよし、毎回なにかやってくれる、と思わせるものを持ってるます。ただ前の試合でも感じましたが、立ち技における防御が少し甘いところがある。確かに攻撃面での打撃を当てていく感覚は素晴らしいのだけど、ともすれば油断しがちな顔も覗かせるので、気を付けないと一発でやられる可能性も。ただそれがあるから見ていて面白いのですがね。

TV観戦をしていて1番オッ?と思ったのが、大晦日恒例の格闘技イベント【Dynamite!】に'03 WORLD MAX王者魔裟斗選手が参戦表明。試合にKO完勝したばかりの山本“KID”徳郁選手が、ゲストで山本選手の試合を観戦していた魔裟斗選手に対し『今日本は景気が悪いんで、年末に2人で試合をして盛り上げよう』と対戦相手に名乗りをあげたこと。今年のグランプリでは惜しくも決勝で敗れた魔裟斗選手ですが、現在のミドル級立ち技競技で日本最強なのは異論の無いところ。そこに格闘の野生児・山本徳郁選手が牙をむく構図は久々にワクワクします!お互いを認め合い『総合ルールでは受けてくれないだろうから、K−1ルールでかまわない』という山本選手の言葉に対し、一方の魔裟斗選手も『自分は(受けても)いいですよ』とTV上で即答。K−1プロデューサーの谷川氏は『ブアカーオ選手も魔裟斗選手と再戦してもいい、と言ってるので、これからじっくり考えたい』と答えを保留したが、イベントのカードとしてどちらが魅力的かは明白。あまり時間を置かないで決定することでしょう。
この他、現IWGPヘビー級王者”野獣”藤田和之選手や元柔道81キロ級日本代表の秋山成勲選手の総合格闘家デビュー戦、須藤元気選手も足の怪我の回復具合によっては出るかも…というので、日本人選手のラインナップが続々決定。昨年も曙VSボブ”ザ・ビースト”サップ選手、新日本プロレス中邑真輔選手VSK−1アレクセイ・イグナショフ選手の異種格闘技戦等、ビッグカードを持って紅白歌合戦の視聴率を一瞬でも上回る結果を出した興行ですから、今年も昨年を上回るものを…というのは当然期待されているはず。さてどんな夢のカードが飛び出すか楽しみです!