【想色〜オモイノイロ〜】

監督・脚本・編集:喜屋武靖
主演:若槻千夏太田千晶岩佐真悠子
出演:府川敏和(友情出演)/川村亜紀高槻純/市瀬秀和/藤平涼二/唐橋充
   山下葉子/松田賢二前田耕陽(友情出演)/滝沢涼子
製作/配給:株式会社KSS
制作:ディメンション

ストーリー:
何でも相談できる親友として高校時代を共に過ごした杏奈(若槻)と祐香(太田)、亜紀(岩佐)の3人。19歳となった今では、それぞれ別々の生活で他人には言えない悩みを抱えていた。杏奈は有名スタイリストの母親との間にある出来事とコンプレックスから確執が生まれ、その苛立ちから投げやりな気持ちを引きずって夜遊びに明け暮れる毎日を過ごしていた。祐香はその杏奈の母親の下で見習いスタイリストして働くが、周りに内緒で付き合っているカメラマンや仕事仲間の同僚から寄せられる想いとの三角関係に苦しみ、仕事でもミスを犯して上司に叱責されてしまう。一方亜紀は学業の傍ら小さな編集プロダクションのアルバイトで忙しく動き回るが、上の都合で企画がボツになり無駄足を踏むことが毎回のように繰り返され、仕事に対しての情熱を失いかけていた。なにかが上手くいかない毎日の中で、彼女たちはお互いに連絡を取り合おうとするが、その想いとは裏腹にすれ違いの日々が続く…。そんなある日、祐香が体調を崩して倒れ、搬送された病院で久々に顔を合わせる3人。交わされる会話の中で、否応無しに流される日々に唯一信じあえるはずだった関係にも微妙な距離が出来てしまっていることに気付く。彼女たちは、眩しくも鮮やかに色付いていた高校時代の自分たちを思い出して…

まず全体として、なんとも抑揚がないというか、山がないというか…。ストーリーはまぁ理解できるのだけど、作品の持つテーマが全編を通じてあまり観えてこなかったです。話し掛けられて聞いてはみるものの、聞き終わったら『だから、何?』って言いたくなるような感じ。3人の主人公を設定したのはよいが、それぞれを等分に追いかけるというスタイルだったために、ストーリーが焦点ボケを起こしてしまっている。主役3人の中では、太田千晶さん演じる祐香がストーリーの核になってるようなのですが、どうもそれもわかりづらい。映画という短い枠を考えるならば、いっそのこと誰か1人に焦点を絞って語らせた方が良かったのでは?と。故にキャラクターへの感情移入もしづらくて、ただただ淡々と流れる画面を目で追う…という感じになりがち。これではモノローグで終わるラストシーンも無理やり話を纏めるため?…という印象しか残らなかった。
それぞれの役柄も、この役をこの娘がやる必要があったのか?という疑問が。特に若槻さんなどは与えられた役柄からいつものバラエティーで見せる陽気で元気なキャラクターを封印され、見た目のギャルっぽさのみが強調されてしまっていた。多感な時期に様々なことで葛藤し悩む一人の女性を描きたかったというのはわかるが、しゃべらせてナンボの若槻さんに対しては演技が良い悪いの前にキャスティングした時期が若干悪かったのではないかと。そんな中で唯一の発見は、岩佐さんが意外に演技に向いているのでは?と思わせてくれたこと。実年齢にそぐわない何か気だるそうな雰囲気を醸し出している岩佐さんですが(本人は特に意識はしていないんでしょうけどネ☆笑)、ごく普通の大学生役というある意味『キャラが違うのでは?』というような役もそつなくこなしていたのを見て、この娘はこの先早いうちから演技方面で頑張ったほうが伸びるのでは?と感じました。
まぁ低予算映画なので多くを望むのはムリだと最初から判っていたが、もう少し何とかなったんじゃないか?という気がします。
【評価】☆☆☆☆
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