ディープインパクト年内引退

凱旋門賞に挑戦したディープインパクトの年内引退が決定した。

昨年、21年ぶり史上2頭目の無敗3冠馬となった競馬のディープインパクト(牡4歳、池江泰郎厩舎(きゅうしゃ))が、今年で現役を引退し来年から種牡馬になることが決まり、11日に日本中央競馬会(JRA)が発表した。  年内は天皇賞・秋ジャパンカップ有馬記念の各GIレース出走に向けて調整を進める見込み。同馬は今年の天皇賞・春宝塚記念の勝利も合わせてGI5勝を挙げており、今後目指す3戦すべてに勝つと、シンボリルドルフなどが持つGI7勝のJRA最多記録を更新することになる。  引退後は、日本競馬史上最高額の51億円(1口8500万円×60株)のシンジケートが組まれ、北海道安平町の社台スタリオンステーション種牡馬生活に入る。  金子真人オーナーからこの日の朝に引退の決断を伝えられた池江調教師は同日午後、東京都府中市東京競馬場内で記者会見し、「突然の報告に寂しいという気持ちでいっぱい。まだ何回かは競馬をするチャンスはある。応援してもらえたら、ディープも一生懸命、走ると思う」と語った。

うーん…引退はいつかは来ることだけど、今回の発表はちょっと急でしたね。
やっぱり、もったいないナァ…と思ってしまいます。というのも凱旋門賞が決して相手に力負けしたって感じじゃなかったから。ぶっつけであれだけ走れるんだから、もう1回挑戦すれば…って誰もが思っていたんじゃないかな?
しかしオーナーサイドとしては、今後のことも考えてこれだけの実績を作ったのだからもう無理に走らせるのは得策ではないと判断したようだ。51億円という内国産馬として史上最高額のシンジケートが組まれることで来春からの種付けに間に合わせる為に。
だが、金子真人オーナーはかつて「ディープインパクトはもはや自分の馬ではなくファンの馬」と発言していたはずだ。
ならば、少なくともファンを納得させる形での発表・時期があっても良かったのではないか?
例えば「故障を発症していた」とか「レースで惨敗した」というのであれば、ファンも素直に「お疲れさん」と言えるだろう。しかし馬は(少なくとも今の段階では)何も問題なく元気だし、敗れたとはいえ「この馬ならば」と手応えを感じたからこそ池江秦郎調教師や武豊騎手も非公式ながら来年の凱旋門賞再挑戦を口にしたのだろう。
これは穿った見方かも知れないが、その独断のリップサービスがオーナーの怒りを買ったのかもしれない。ハルウララの例を取るまでも無く、世間的にこれだけ話題になってしまうと単なる競走馬としてではなく関連アイテムなどの問題も絡んで馬の主導権争いが度々起こる。まぁ最終的な決定権は馬のオーナーにあるのだから、決まったことについては仕方が無い。しかし、競馬というのは馬を買うオーナーだけで行なわれているわけではない。日本競馬は馬券を買ってくれるファンがコレだけいるからこそ成り立っているのを忘れてはならない。ファンはディープインパクトに単なる馬券の勝ち負けを越えた夢を託していた。だからこそこれだけ熱狂し応援したのだ。
一流馬を所有する競走馬のオーナーならば、ファンの心情を理解しての最終判断を臨みたい。
さて。となればディープインパクトの出走レースは天皇賞・秋ジャパンカップ有馬記念の3つに絞られるが、現在着地検疫中ということを考えればジャパンカップ有馬記念という出走体制を取るものと思われる。凱旋門賞を勝っていれば有馬記念で引退という花道も考えられたが、敗れた以上その力を世界にもう一度認めさせるには、国際招待競走であるジャパンカップでのパフォーマンスがもっとも重要視される。相手関係の問題もあるだろうが、海外未出走であるにもかかわらず「トップ50ワールドリーディングホース」で同率1位にランクされた日本競馬最高の英雄のリベンジに期待しよう。